日時:令和7年5月31日(土)14時30分~16時40分
会場:国分寺市立cocobunjiプラザホールリオンホール
講師:杉本憲彦氏(慶應義塾大学法学部教授・理学博士)
演題:「地球温暖化と人類の未来 ~持続可能な未来に向けて」(国分寺市、および国分寺市教育委員会後援)
来場者:155名(国分寺三田会会員85名、塾員センター、近隣三田会、稲門会10名、
国分寺小金井在住塾員3名、家族・友人45名、一般12名)
国分寺三田会の講演会は、今年で17回目を迎え、5月31日(土)14時30分からcocobunjiプラザリオンホールで開催しました。講師には、慶應義塾大学法学部・理学博士の杉本憲彦教授*1をお招きし、「地球温暖化と人類の未来 ~持続可能な未来に向けて」というテーマでお話を伺いました。
当日は、国分寺三田会会員及びその家族・友人、来賓、一般の方など155名の方々にお越しいただき、会場はほぼ満席となりました。今回の講演には、会員以外にも、来賓10名、ご家族・友人45名のほか、一般市民12名など多くの方にご参加いただき、当会の目的の一つである地域社会の発展に向けて、ささやかながら貢献できました。
司会の上原幹事(59文)の開会の辞と平林会長(47経)の挨拶に続き、杉本教授の講演が始まり、要旨、次の内容についてお話しいただきました(講演内容の詳細は、HPの「講演録」に所収していますので、是非ご覧ください)。
1.地球の温度と気候の変動
*放射平衡:入りと出のバランス
*平衡からのずれ:気候の変動 現在はCO2増加 過去は太陽軌道要素
2.発電とエネルギー
*地球のエネルギー源:太陽
*太陽のエネルギーの変換:発電
*化石燃料:過去の貯金(貯エネルギー)
3.持続可能性について考える
*今ある太陽のエネルギーで自給自足しなければならない
*食料も太陽のエネルギーからできる
*気候変動はエネルギー、食糧の問題と繋がっている
盛沢山の内容でしたが、前半のセッションでは、
・「極端な気象現象」が、今後10年以内の世界的リスク要因の中で「国家間の武力紛争」などを抑え、最大のリスクにランクされていること、
・最近の温暖化は、地球の軌道要素の変化による気候周期によるものではなく、人類のCO2排出による動的平衡状態の崩れが原因であることは科学的に疑いの余地がないこと、
が強調されました。
また、後半では、
・エネルギー問題と持続可能性についてエネルギー保存の法則により、総量の変わらないエネルギーをどのように有効活用していくか、石油エネルギーが枯渇する前に、エネルギー問題を解決し、温暖化防止と経済活動への悪影響を防ぐという二律背反の課題をともに解決する必要があること、
・バイオエタノールなどの石化燃料に頼らないエネルギー源の確保が急がれるが、食糧になるものを石油代替のエネルギーにすることの是非などに配慮しながら持続可能性を追求していく必要がある、
などの論点を丁寧に解説いただきました。
最後に、社会の大転換には幅広い層の協力が不可欠であり、一人ひとりが地球の未来を真剣に考えるべき時が来ており、変化の鍵は、人口の3.5%が行動すれば社会が動くという「3.5%ルール」にもあるとし、小さな行動がやがて大きな変革へとつながる、と締めくくられ、大きな拍手が送られました。その後の3人の方からの質問にも丁寧に、明確に答えていただき、改めて満場の盛大な拍手で講演会を終了しました。
本講演は、多くの科学的根拠や資料とともに網羅する内容で、地球温暖化のしくみを理解したうえで、持続可能な未来のあり方について課題を含めて考えていく貴重な機会となりました。杉本教授の豊かなご見識と、真摯で柔らかなお人柄に改めて心から敬意を表しますとともに、大変ご多忙な中、講演をお引き受けいただいたことにこの場をお借りして篤く御礼申し上げます。
*1 杉本憲彦氏プロフィール専門は気象学、地球流体力学、惑星大気科学。金星大気の数値モデルと金星探査機「あかつき」の観測をデータ同化により結びつける研究に従事。京都大学理学部卒業(2000年)、京都大学大学院理学研究科博士課程修了、理学博士(2005年)。名古屋大学COE研究員を経て、慶應義塾大学日吉物理学教室に所属。慶應義塾大学法学部教授(2020年より)。気象学会, 流体力学会, 海洋学会などの会員。日本流体力学会 2016年度学会賞(竜門賞)受賞。主要著書に「風はなぜ吹くのか、どこからやってくるのか」(ベレ出版2015年)、「はじめて学ぶ大学教養地学」(慶應義塾大学出版会2020年)、「空があるから」(福音館書店2020年)。気象予報士、ワインエキスパート。趣味はテニス、登山(百名山制覇)、スキー、スノーボード。ホームページ http://user.keio.ac.jp/~nori/
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