【C】料理実習27「中華ちまきは竹の皮の香りがおいしさの決め手!」

秋の色が日増しに濃くなり立冬の足音がひたひたと迫ってくる10月31日、12人が参加して実施しました。
ハイライトは馬肥ゆる秋にふさわしい「中華ちまき(粽)」です。

<実習の内容>
中華ちまき、棒棒鶏、ネギと生姜の卵スープ、キャベツとキュウリの中華風和え物です。
〇ちまきの具材:もち米、豚ロース、干しシイタケ、干しエビ、白子タケノコ(京タケノコ)、ニンジン、ネギ
〇棒棒鶏:一般的にはむね肉を使用するが、コクとうま味を増すためにもも肉を使用
〇スープ:鶏肉の茹で汁を使用。茹で汁にはたんぱく質・ビタミンB群に加え、睡眠の質改善に役立つトリプトファ
ン、抗酸化作用や持続力の向上に効果があるイミダゾールジペプチド、骨粗しょう症に効果のコラーゲンが多く含ま
れ無駄にできない。
<ちまきの出来栄え>
私は、竹の皮にもち米と具材を炒めたおこわの前段階のようなものを正四面体に満足に包み込むことができず、同じ
テーブルで調理しているメンバーが既に中華せいろに詰め終わっていたこともあり、中途半端な状態でせいろのわず
かな隙間にあわてて押し込みました。蒸し上がった中華ちまきが不格好に崩れかかっていたことは言うまでもありま
せん。実習内容を伝えることははばかりたく、今回はちまきの由来などについて触れることにします。
<ちまきの由来>
ちまきの由来は中国の故事にあり、楚国の政治家で詩人でもある屈原(くつげん)の死を供養するためのものとのい
い伝えがあります。
1.楚の政治家屈原
楚国の王族であった屈原(約23百年前に活躍)は、博識の上政治的手腕にも優れていたため王に信任されて要職に
就くが、他の官僚の妬みにあい失脚。最後には長沙(現在の湖南省)に左遷されてしまう。王に見放された屈原は、
楚の未来を憂い汨羅江(べきらこう)に身を投げ、失意のうちにその一生を終えた。
2.ちまきの誕生伝説
6世紀に成立した『続斉諧記(ぞくせいかいき)』によると、屈原の入水後、その死を悼んだ村人は、命日の5月5日に
供養として竹筒に米を入れ、汨羅江の淵に投げ込むが、蛟龍(こうりゅう:龍の一種)が住んでおり、投げ込んだ供物
を食べてしまう。ある時、屈原の霊があらわれ「厄除けに楝樹(れんじゅ)の葉で包み、邪気を祓うとされる五色の糸
で巻けば蛟龍は食べないであろう。」と告げた。その後、村人は教え通りに供物を作るようになった。これがちまき
の始まりだといわれている。
3.日本への伝来
927年(延長5)に完成した『延喜式』に「粽料糯米(もちごめ)二石」と記載されているほか、934年(承平4)ご
ろの『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』にも、「真菰(まこも)葉をもって米を包み、灰汁をもってちまき
を煮る」と記され、奈良時代から平安時代前期にはちまきが伝来し存在したとされている。
ちまきは、古くは「茅(ちがや)」というイネ科の葉で包まれていたので「茅巻き(ちがやまき)」と呼ばれてい
た。「茅」は「ち」とも言うことから、「ちがやまき」が次第に転訛して「ちまき」と呼ばれるようになったとされ
ている。
<ちまきの種類>
1.中国
もち米と一緒に豚肉やタケノコ、シイタケなどに甘辛く味付けしたものを、竹の皮で正四面体状に巻いてイグサで縛
り、蒸し上げた料理は「肉粽」(ロウツォン)と呼ばれる。日本では「中華ちまき」と呼ばれる。
2.日本
日本国内のちまきはその昔、灰汁の中で煮込んで作られていた。これは、灰汁が持つ殺菌力や防腐作用がもち米の保
存に適しているので、武士が戦へ向うときに携帯して食べる食料として用いられていたといわれている。
その後、日本の各地で改良され、防腐作用のある笹の葉が使われ、包まれている中身も、もち米を包んだもの、あん
こ入りの餅、くずもちを包んでいるものもある。
ちまきの形は三角形や円錐形、長方形に包むものもある。三角形は、毒蛇の形をあらわし、毒蛇に見立てられたちま
きを食べることによって免疫がつき、病気や災難から身を守ることができると考えられている。なお、端午の節句に
ちまきを食べるのは関西を中心とした地域で、関東では「かしわ餅」が一般的。
京都では有名な祇園粽がある。祇園粽は、八坂神社が出している厄除けちまき、外側も中身も笹のみで巻かれている
ため食べられない。「蘇民将来之子孫也」という赤い紙が付いているのが特徴で、八坂神社のご祭神で、ヤマタノオ
ロチ退治でも有名な素戔嗚尊(すさのおのみこと)の伝説に由来する。厄病や災難から守ってくれるご利益があり、
祇園祭の宵山の日に授けられ、一年間玄関先に飾る。私も厄除けにと山鉾のお会所で幾度か買い求めている。
<ちまき作りの記録>
1枚目…これから食すちまきランチ、2枚目…中華せいろで蒸し上げた中華ちまき、3枚目…実習前の雑談、
4枚目…丸山さんテーブル実習シーン、5枚目…丸山さんテーブル(池田、井上、広田、丸山)、
6枚目…斎藤さんテーブル実習シーン、7枚目…斎藤さんテーブル(沼野、樋口、伊藤先生、斎藤、久保田)、
8枚目…宮西さんテーブル実習シーン、9枚目…宮西さんテーブル(宮西、内野、小沼、川口)

文責・写真:沼野義樹