【歴】第86回 歴史をひもとく会 講演会報告

2回 会員による歴史談義

人に歴史ありとか・・・。悠久の時の中で、人は自らの歴史の糸を紡ぎ、織りなした物語を心の玉手箱の中にそっと仕舞い込んでいます。それを引き出して、味な話を聞かせてほしいというのが、この企画のコンセプト。

第86回の講演会は10月6日(土)、本多公民館にて、歴史をひもとく会会員のお二方を講師に迎え、47名の参加者の下で行われました。まず、最初にご登壇されたのは第1回でも講演して頂いた斎藤信雄氏で、昨年に引き続き「古事記」に纏わるお話です。

講演1「現代の身近にある古事記」

斎藤 信雄 氏 (昭38・政治)

 

ご現代の身近にある古事記20180922冒頭に講師は、古事記とは何ぞや、即ち上・中・下の3巻に分かれる古事記では、上巻で天地の始まりから神武天皇誕生までが書かれている事を紹介。そして、主な神々及びその神々に纏わる神話が物語調に興味深く語られ、聞く者を古代ロマンの世界に引きずり込んでいく講師のゆったりとした口調と話の巧みさに、全員がうっとりと聞き惚れました。一神教の厳格さとは異なり、万物に神宿るという多神教のおおらかさ、八百万の神々に囲まれて暮らす日常のありがたさなど、古事記が現代にも根付いていることが語られました。更にお話は、我々の日常生活の身近にある、国分寺市・小金井市・小平市内の神社に進んでいきます。この地に神社を立てる上で、3つのポイント即ち、①武蔵野台地にあること②国分寺崖線にあること③玉川上水が流れていることを重要な要素として挙げています。具体的な神社名とその由来など古事記にまつわる興味深い縁起が紹介されて、まだ聞き足りないという雰囲気の内に講演時間満了となり、聴衆も古代ロマンと古事記の世界に大いに魅了されました。 

 

次に登壇されたのは同期生の武田寿和氏で、京都の銘菓「八つ橋」に纏わるお話です・

 講演2「聖護院八つ橋の秘密」

武田 寿和 氏 (昭38・政治)

京銘菓「聖護院八ッ橋総本店改講師は、この表題を選んだ理由からお話を起こします。小学生の頃から、知っているし、味も分かっている。でもその由来など誰も気に留める者はいない…、そこに気づいた講師の着想のユニークさが興味深いものに感じられます。京都聖護院の森で八橋検校の墓参に訪れる人々に、琴型の煎餅を売り出した「八つ橋総本店」の330年にわたる歩み、「八橋検校」の生い立ち、「修験宗総本山聖護院門跡」、八つ橋の名を巡っての「伊勢物語」等々凡そ八つ橋に関係する事象を網羅的に調べ上げて解説。更に京都の聖護院八つ橋総本店及び愛知県の三河にある八橋という地名の残る場所(知立市八橋町)への現地調査によって詳細な把握を行っていること等、内容は、思わず、うーんと唸ってしまいそうな秀逸な構成である。そこはかとなく優雅でニッキの香りも高く甘くおいしい八つ橋に相応しい味のある話でしたが最後に、八つ橋業界の現状と問題点について述べた時、今年の6月に起こった「八つ橋創業に関する衝撃的な事件」が如何にも残念という講師の気持ちが伝わってきました。

両講師共に、歴史をひもとく会の会員であり、聞く側との距離も近く講演会とはかくあるべきとのムードに包まれてとても素晴らしいひと時でありました。

以 上