【歴】第114回 歴史をひもとく会 開催報告

会員による歴史談義

2026年2月28日(土)午後1時15分より、東京都公文書館研修室にて、46名の参加者を集め、第114回例会が行われた。スライド1

テーマは「古事記・決定版」。講師は、古事記の研究をライフワークとされている会員斎藤信雄さん(昭和38政)。昨年当分科会世話人を勇退された講師の、古事記の物語としての面白さを会員に伝えたいと言う気持ちでの講演だった。

[講演の構成]

  1. 上巻の神話解説 ①天地の始まり ②神生みと黄泉の国 ③3貴子の誕生 ④誓約と天岩屋神話 ⑤五穀の誕生とヤマタノオロチ退治 ⑥オオナムジ苦難と根の国での冒険 ⑦因幡の白兎とオオクニヌシの国造り ⑧国譲り神話と天孫降臨神話 ➈海幸彦と山幸彦
  2. 古事記の2つの世界観
  3. 古事記の成立

[講演内容]

  1. 上巻の神話解説

天地創成・神々の化成から天孫降臨までの奇想天外、多彩な登場人物(神々)の八面六臂の大活劇、そして神武天皇の誕生までを講師の穏やかで平易な言葉で流れる様に分かり易く語られた。

  1. 古事記の2つの世界観

南方的・母系的な水平的世界観に、北方的・父系的な垂直的世界観が重なって物語が織りなされている。これは、南方に起源をもつ縄文系と朝鮮半島経由で渡来した弥生系の人々とが混在する日本人のルーツに由来すると考えられるとのこと。

  1. 古事記の成立

講師は通説に捉われることなく古事記の序文に疑念を抱き歴史上の事実を積み重ね「歴史をひもとき」見解を披露した。(最近の歴史学者も序文に諸説を述べている)小野妹子等遣隋使(607年)は、中国と国交を開くには天皇の正統性、国の歴史、各地に伝わる言い伝え等を編纂する必要性を感じた。聖徳太子、蘇我馬子が各地の豪族の下の記憶力に優れた若き英才たちに指示し「古い古事記の原型」が編纂された。太子や馬子の元で「天皇記」「国記」が編纂されたが、2人の死後にこの古い古事記は忘れ去られた。681年天武天皇が「日本書紀」編纂号令を出し、太子の「国記」の見直しを命ずる。702年遣唐使の国交回復要求に対して唐は4つの指摘への回答を求め、その中の「国史を明らかにし天皇の由緒の正しさを示すこと」に対して、712年の遣唐使に「古い古事記の原型」を見直した「古事記」を託すも、倭文であり「史書」の概念から外れた叙事詩と評される。720年正史としての日本書紀が漢文で編纂された。古事記はその後1780年に本居宣長に見出されるまで、朝廷の書庫へ保管されたままであった。

講師は、古事記成立の段に入るあたりから特に熱が入って、気付くと演台横に立ち上がっての熱弁で、参加の聴衆に迫るものが感じられた。今回の講演時間は内容の濃さから通常より30分長い150分とした。場所を移しての懇親会でも講師は、23人の参加者の間を廻り丁寧に質問に答えた。

文責:貫名泰男(昭和46経)

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