【歴】第112回 歴史をひもとく会 開催報告

―奈良は、いつも新しい―

連日の猛暑の中8月30日、東京都公文書館研修室で入室出来ない程、満員の61名が参加し、最近入会された方も多かった。国分寺とゆかりの深い奈良の話を放送番組制作者として新しい視点や感性で奈良の魅力を十二分に話され熱心に聞き入った。
質疑応答の後の懇親会も講師を交えて盛況であった。

≪講師プロフィール≫

武中千里 現在 NHKエンタープライズ エグゼクティブプロデューサー、

国学院大学で放送文化論を教えている。1983年 慶応経済学部 卒業(加藤寛ゼミ)
NHK入局以来「クローズアップ現代」や「NHKスペシャル」等の番組制作に携わり2008年に名古屋放送局に放送部長として赴任した。歴史好きが高じて”今までに無かった””今までとは違った””新しい“奈良を見出した。京遷都1300年に当たる2010年に[あなたの知らない奈良]をBSで6時間の生放送をプロデュースした他 帰京後も[世界遺産ドリーム]や優れたスペシャル番組等を数々制作した。

≪要約≫

正倉院展は昭和21年に始まりほぼ毎年開催されているが毎回初出陳がある。8世紀以前の木造建築は世界でも奈良県にしか存在しない。国宝をはじめとする9000件の宝物があるがすべてが古いものばかりと思っていたが今年は過去にあった宝物から布の一部や絵画の一部から出た塵芥(糸くず、紙くず等)を丹念に復元した品も展示された2008年に出品された‟白瑠璃色碗“は西アジア産で5~6世紀に製作され伝来されたものだが世界にある同じものに比べて“できたてほやほや”当初の輝きをそのまま保っていた。興福寺の五重塔は藤原氏の絶大な勢力を示しているとも言え、様々な姿を探して境内の周りを巡った。「猿沢池南東から鹿と映る五重塔」「ホテル4F北側客室から中金堂と菩提寺と望む五重塔」や「若草山への途中から大仏殿越しに見る五重境」等、新たに感動した。司馬遼太郎もこれほどの贅沢な景観と守りぬいた町の精神に敬意を表しているが同感である。日本有数の美物「阿修羅像」を堀辰雄,白洲正子,川端康成ももそれぞれ今までとは違った視点で書いているが ”残ってきたモノ””遺ってきたヒト”の感じ方,見方がいつも新しく生まれている。「奈良をいつも新しい」を感じる為には知っているものの中から1歩く・見る・感じる 2読む 3訪れる・食べる・吞む・聞く・話すを体験し仲間と交流しながら得るもの。「豊富な歴史がある所から新しいものが生まれる」事は必然といえる。同じ様に番組制作でも「一般的に知らないものは興味がない。知っているものは興味がある」みんなが知るものが企画しやすい。来年奈良は飛鳥・藤原の旧都として世界遺産登録の可能性が高いと締め括った。

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