テーマ:「シニア人材が日本を救う」
2月16日(日)、国分寺労政会館にて34名参加の下、第37回The Young Salonを開催、当三田会会員である中原千明さんを講師にお迎えし、「シニア人材が日本を救う」というテーマでお話し頂きました。 中原さんは1973年に慶応義塾大学を卒業後、都市銀行に入行、不動産や企業年金等幅広い分野で活躍され、退職後61歳で起業、基金運営研究所㈱を設立、一般社団法人年金基金運営相談センター理事長に就任。その後事業を拡大して2013年に㈱CNコンサルティングを設立、シニア人材の雇用と戦力化に尽力、第一戦の経営者として活躍しておられます。 尚、引き続き行われた懇親会には講師を含め19名が参加し、和気藹々の楽しい会となりました。以下に印象的な言葉を抜粋し掲げます。
記
- 自己紹介
入行後、本部で東日本の営業責任者として厚生年金基金を中心に4兆円という多額の資金を運用するなど様々な業務を行っていたが、その後海外行員の不正問題などによる過重なストレスから髄膜炎を発症。一時社会復帰が絶望視されたが奇跡的に回復。一度は人生も終わったと思った処からの再出発を行った。 日本は生産年齢人口減少がGDPの低下を招き日本経済が落ち込んでいるが、生産年齢人口、15~64歳を10年間伸ばし、75歳位迄とすれば余り悲観しなくても良いのではないかと考えている。
- 少子高齢化
わが国では2025年頃には国民の3人に1人が65歳以上になると見られている。14歳以下の年少人口の山は1955年、続いて段階ジュニアの時代1980年があるが、その後緩やかに減少し、これが生産年齢人口の減少へと繋がる。平均寿命が延びた事で2008年頃迄には人口が増え続けてきたが、それ以降は年少人口の減少により人口増の限界が出てきた。将来的には人口は5,000万人位、独居老人の世帯が3割位で、若い人の単身世帯が1割、計4割が単身になる可能性が高い。図1 日本の総人口の長期推移:年齢構成別、1880~2115年
資料:旧内閣統計局推計、総務省統計局「国勢調査」「推計人口」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成 29 年推計[ 出生中位・死亡中位推計 ])
- 高齢者比率の増加による社会保障費の増加
現状が続けば年金の受給者が増え、支える人がいなくなる事から若い人の負担が増える不安がある。最後は税金を投入する等で厚生年金が破綻する事はないが、全体として貧しくなる。 働き方改革による高齢者雇用機会の創出、年金の支給開始年齢の引上げ、シニア人材、女性、外国人労働者の活用等様々な努力・取り組みがなされているが、シニア人材の活用・頑張りが日本を救う大きな力になると考えている。
- シニアが持っている魅力
シニアは業種を問わず経験が豊富。仕事・趣味・プライベートを問わず色々な人脈があり、コミュニケーション能力がある。また賃金よりもむしろ生きがいを求める人や社会貢献を望む人も多い。
- 再就職が難しいのは何故か - シニア人材の問題点と課題
シニア側の問題点としては過去の実績・手法・栄光にしがみつくことで、組織チームの中で浮いてしまい、結果ぞんざいな態度をとる人や、ポスト・報酬に不満を持つ人もいて、会社が受け入れたとしてもチームとして働く上で大きな問題を抱える人もいる。 米国を始め海外では会社の人材募集において年齢・性別不問という所が殆どだと思う。今後多様性のある人が活躍できる社会になっていくのではないか。シニアに頑張って欲しいというのが自分の考えである。
- 現役としての心構え
健康に生きて
きちんと食事ができる事に感謝。会社が収益を上げ税金を納め、雇用を増やす事で社会に貢献できる事に感謝。アイデアがあったらすぐに行動に移すことを自分の信条にしている。今日より明日、明日より明後日と日々研鑽し、世の中の観察、その変化に気づく事が極めて重要である。
<<< レジュメ <<<
Ⅰ. 取り巻く労働市場環境
日本が直面する厳しい現実『少子高齢化』への対応 ⇒ 減少する人口と増加する高齢者比率
- 国民の『約3人に1人が65歳以上』という高齢化社会が到来
- 高齢者比率の増過による社会保障費の増加
- 国も推し進める『シニア人材の活用』
- シニア人材向けの再就職に特化した人材派遣会社・求人サイトの増加
Ⅱ. シニアが持っている魅力
積み上げてきた『経験』は知識に勝る
- ベテランならではの安心感
- 幅広い人脈
- 賃金の多寡に関係ない『旺盛な労働意欲』
- 『社会貢献』への意識
- 成功体験と失敗体験の蓄積
- 即戦力となりうる豊富な人材
Ⅲ. 再就職が難しいのは何故か?
シニア人材が抱える『問題点や課題』を再認識する
- シニア人材の受け入れ体制が十分ではないこと
- シニア本人の高いプライドや実績への拘り・再就職先の給与やポスト等の待遇に不満を持つ
- ・社内に上下関係を作りたがる
- ・過去の実績や栄光にしがみついている
- 社会環境の変化への対応が苦手・パソコン・スマホ等、新しい機械に慣れるまでに時間がかかる
- ・経験のない仕事に『尻込み』してしまう
- ハングリー精神の欠如
- 健康面・体力面の不安
Ⅳ. 企業が『シニア人材』に求めるものとは?
- 会社を離れても『売りになるスキル』を持っていること
- 周囲の人に必要とされる人間であること
- 心身ともに健康管理をしっかり行うこと
- ポジティブであること
◎最後に
生涯現役でいるための心構え
- 感謝の気持ち
- 今日より明日、明日より明後日
- 世の中をよく観察すること