【C】第37回料理実習 「鯵をトコトン食べ尽くそう!」

「アジとは味なり、その味の美をいうなり」

 ・江戸の町人は、江戸前の海で獲れる活きのいい美味いアジが大好物。行商を生業とする棒手振り(ぼてふり)は、水揚げされたアジを日本橋の河岸から仕入れ、町人が住む裏長屋で声を張り上げながら売り歩いていました。
・新井白石は、語源辞典の『東雅(とうが)』(享保2年/1717年)に「或人の説く鰺とは味也、其の味の美をいふなりといへり」と記しています。つまり、アジの語源は「味が美味しいからアジと呼ばれている」と説明しています。江戸の町人がアジを好んでいた訳も納得できます。
・今日でも、うま味成分を多く含むアジは人気の魚、「生、焼、煮、揚、干」などの調理法で食べられています。

【料理実習の概要】
・残暑は厳しいものの朝晩の風は心地よく、虫の音が待望の秋の訪れを感じさせる9月17日(火)、講師の伊藤先生と我々生徒16名が「ひかりプラザ」に集合しました。勇んで集合したまでは良かったのですが、ひかりプラザ全館の空調が原因不明の故障。日中の気温は33℃に上昇、施設から提供された扇風機の風が唯一の救い。
熱中症を気遣いながらの暑さとの戦いは、まるで「飛んで火に入る夏の虫」。
・今回の実習は「鯵をトコトン食べ尽くそう!」がキャッチフレーズ。鯵の三枚おろしに不安を覚えるものの、先生の捌き方を参考に、一人一尾ずつ、どうにかこうにか三枚におろし、鯵を隅から隅まで堪能しました。

【実習を支えたメンバー】
・食材調達は、内野さん、小林千晃さん、小沼さん、小島修さん、それに私が担当。
実習終了後の後片付けチェックは、川口さんと広田さんが担当しました。
・主役の鯵17尾を担当した小林さんは、スーパーの魚屋に予約しておいた鯵を実習日前夜に何とか確保できて一安心。野菜価格の高騰や令和の米騒動とも重なり、食材調達の難しさを実感しました。
・成熟度合いの見極めが難しいアボガドは、先生に調達をお願いしたので、食べ頃の立派なアボガドがゲットできました。感謝!

【今回の献立】
・鯵を三枚におろして、身の部分は「鯵の緑酢かけ」、中骨はこんがり焼いた「鯵の骨せんべい」、骨以外のアラを出汁にした「漁師風すまし汁」。
・更に、牛乳と卵を混ぜて蒸した上にそぼろと野菜の餡をかけた「牛乳茶碗蒸し」、アボガドと真っ赤で大きなトマトで作る「トマトとアボガドのわさび和え」を加えます。
・彩りもあざやかな豪華なランチメニューです。主食は、米騒動の影響で購入するのに難儀した白米を炊いたホカホカご飯。
≪鯵の緑酢かけ≫
・胡瓜をすりおろして調味料を加えた緑酢は、彩りも鮮やか、味もさっぱり、爽やかな香りが鯵の美味しさを一層深めました。私が好きな鯵の叩きや南蛮漬けとは全く違ったハイカラな一品です。
≪鯵の骨せんべい≫
・三枚におろした中骨をオーブンで焼くだけの簡単料理ですが、私が食べたのは、身が多く付いた骨せんべい。期待した香ばしいパリパリ感は今一つでした。味付けは塩のみ、醤油を少々欲しくなった私です。
≪漁師風すまし汁≫
・アラからとった出汁は旨みタップリでビックリ仰天。臭みのない、しっかりした味わいのすまし汁でした。
・同じ班の斎藤さんが、霜降りにしたアラの血合いや汚れを綺麗に取り除かれたご努力の成果です。丁寧な下処理の重要性、改めて実感しました。

【調理する前に】 … 事前準備、先生の説明、食材の鯵とアボガド

【一人で粛々と】 … 為せば成る

【アジとの闘い】 … 三枚おろしは難しい

【完成しました】 … 出来上がった料理を前にして

(文責・写真 昭48沼野義樹)